「また飛ばされた……って、ここは一体どこだ？」
拠点だったはずの帰還ポイント『羅城門』を背に、叶馬たちは見知らぬ瓦礫の都市に立ち尽くしていた。
『ハイスクールハックアンドスラッシュ』（著：竜庭ケンジ）は、現実世界と仮想空間が交錯する“異能学園×異世界サバイバル”を描いた最新鋭アクション・ファンタジー。第5巻では、さらに深刻化する“失踪者＝ロストマン問題”と、ゲームシステム自体のエラーが物語を加速させる。
主人公・叶馬たちは「マーベルワールド」のボスらしき存在を倒し、次のミッションへ進もうとしていた。しかし突如発生した転送バグにより、彼らはゲーム世界とも現実世界とも言えない“異境”へと吹き飛ばされる。
その裏で、リアル世界の豊蘆原学園では、Aランク倶楽部からの失踪者が続出し、大騒動に。学園側が混乱と不安に包まれる中、生き残った者たちは“なぜ自分たちだけが残されているのか”という問いに直面する。
この巻の最大の魅力は、圧倒的な“緊張感”と“閉塞感”だ。
- 自分たちの世界はどこまでが現実か？
- なぜ敵はこんなに“人間臭い”のか？
- 仲間は信用していいのか？
戦闘シーンは従来通りハイテンポで展開しつつも、精神的な焦燥とパーティ内の不協和音が絶妙なコントラストを生んでいる。叶馬の冷静さと、時折見せる“誰よりも熱い”リーダー性が、読者の胸を打つ。
しかも今回は、物語の核心である“システム”そのものが崩壊しかけている。そのバグが“意思を持つ”かのように機能する描写には、ホラーにも近い緊迫感すら漂う。
- 電脳世界×高校生×集団失踪
- 異空間の探索と侵攻戦
- 選ばれし者ではなく“取り残された者”の逆転劇
そんな構造の中で、本作はただの異世界系作品にとどまらず、プレイヤー＝読者自身をも試す“サバイバル・リーディング”となっている。
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この世界がゲームか現実かは関係ない。
生き残るには、今ここで“ハックして、スラッシュする”しかないのだから。
