「わたくしはダーリンと一緒にいるのが幸せなの」
星々を見下ろすバルコニーで、純白のドレスを纏ったロゼッタがそう呟いた。
その言葉を聞いた瞬間、リアムは“悪徳領主”としての仮面を脱ぎ捨て、たった一人の“花婿”として立ち上がる。
『俺は星間国家の悪徳領主!』(著:三嶋与夢)は、“善良すぎた前世の反省”から始まった、悪徳スタイルの生存戦略と、宇宙規模のラブ×バトルロイヤルを描く異色のスペースオペラ。
今回の巻で繰り広げられるのは、ロゼッタとの結婚式――だったはずの“代理戦争編”。皇位継承をめぐる陰謀に巻き込まれ、愛の儀式は戦火の火種へと変貌する。
リアムは当初、戦争への関心を薄く持っていた。しかし、ロゼッタが放った一言が、彼の覚悟に火を点けた。「わたしが幸せなのは、あなたがそばにいるから」――その言葉は、偽悪の仮面すら溶かしてしまうほど、真実だった。
読者にとっての魅力は、悪徳領主を名乗るリアムの“ズレた本気”にある。彼はあくまで“悪を演じている”だけであり、結果的に全方位から慕われてしまう。そのギャップこそが、物語をコミカルにも、ドラマティックにも仕立てていく。
本巻では、政治的陰謀とロマンチックな愛の駆け引きが融合。結婚式が舞台であるがゆえに、“誰を守り、誰を切るか”という選択がリアルに突きつけられる。特に、味方側からの“裏切り”が浮き彫りになる場面は、信頼と駆け引きの深さを痛感させられる。
そして、圧巻なのは星間艦隊が並ぶ“宇宙戦”と、“新郎新婦が共に戦場に立つ”というロマンスの融合。ロゼッタも決して守られるだけのヒロインではなく、リアムの隣で剣を抜く覚悟を見せる。強さと美しさ、そのどちらも彼女の魅力だ。
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リアムが目指した“悪徳”は、結果として“理想”になる。
そして、ロゼッタが信じた“幸せ”は、誰にも壊せない。
――これは、ただのラブコメでも、ただの戦記でもない。
二人の愛が、宇宙を動かす物語だ。