「君が選んだんだ、世界を敵に回すって」
夜の王都、月の光も凍る静寂の中。
スバルは信じていた。自分の意志が誰かを救うと。だが、その前に立ちはだかるのは、“信じていた者”の裏切りだった。
『ゼロから始める異世界生活』（著：長月達平）は、異世界転移という王道を舞台にしながら、“死に戻り”という究極のルールで、読者に“生と選択”のリアルを突きつけてくる唯一無二のダークファンタジー。
今巻のキーワードは、“アルデバラン”。彼がなぜスバルを捕らえ、そして“剣聖”ラインハルトまでも封じたのか？ その行動原理を追うだけで、物語の深層に触れることができる。
そして、大罪司教の囚人解放によって引き起こされる混乱。その最中に送り込まれるのが、“氷結の魔女”。雪とともに現れるその存在は、読者に『エミリア』の記憶を呼び覚まさせ、混濁した正義と悪意の境界線をぼかしていく。
- 味方だと思っていた者が、最大の敵となる瞬間
- “死に戻る”ことさえ許されない状況での、心の崩壊と再生
- ペトラという“小さな決意”が生む、大きな変化
本作は、一人の少年の成長譚でありながら、“他者を救う”ことの恐ろしさと孤独を鮮明に描く。優しさではなく、覚悟だけが生存を許される世界。
綺麗事では終わらない。
愛も希望も、絶望の上にしか成立しない。
それでもスバルは“選ぶ”。何度否定されても、何度死んでも、その選択をやめない。読者はきっと、ページをめくる手を止められなくなるはずだ。
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圧倒的な絶望を、魂で読み取れ。
ここにしかない、“生”の物語がある。
――始まりはゼロ。
でも、選び続ける限り、道はつながっていく。
