「……あら? カメラ、切れていませんわね?」
冬の奥多摩渓谷、深雪の中。
見る者すべての意識を刈り取るような白銀の光景の中、ド派手な装備とリッチなお声で歩み寄るのは――おなじみ、お嬢様系ダンジョン配信者・カリン嬢。
だが、その“配信事故”は、SNS史に刻まれる大事件へと変わっていく。
『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう』(著:赤城大空)は、ただの異世界攻略モノでも、ただのバズ配信ネタでもない。“カメラの向こう側”をえぐる、新感覚エンタメ小説だ。
カリン嬢はもともと、視聴者数もスパチャも伸び悩む“底辺”配信者。
けれど一流のお嬢様育ち、つまり――基礎戦闘力が、常人の十倍超え。
そんな彼女が、「これはもう自作自演では?」というアンチの声を払拭すべく選んだのが“深層ソロ攻略”。それも、リアルの自宅から近いという理由で選ばれた、奥多摩渓谷ダンジョン。
しかし、問題はそこからだった。
配信を切ったはずが、切れていない。
そして、たまたま同じダンジョンに潜っていた“ブラックタイガー”との遭遇戦。
その瞬間が――伝説となった。
「あら、ごきげんよう。そこを通りたいのですが、道をお譲りいただけませんか?」
「……は? 何言ってんだこのバカ配信者」
「残念ですわ。では――行きますわよ?」
ピンクの魔導砲、炸裂。
ブレイクダンスのような連撃、炸裂。
“ブラックタイガー”というか、“ブラックバッファロー”状態で押し切られた同業者は、翌日謝罪文を投稿。
視聴者数:+210,000人。
SNSトレンド:#カリン嬢 #配信事故で無双
だが、物語はこれで終わらない。
この第4巻では、カリンの“事故後”の急上昇と、それにともなう周囲の変化、そして本人の戸惑いが描かれる。
- ダンジョン連合の規約と“配信者倫理”
- 同業者からの嫉妬と賞賛、敵意と友情
- 視聴者との距離、リアルの自分と配信者人格の“乖離”
といった、まるで現代SNS社会の縮図のような葛藤が、高レベルの戦闘描写とともに語られる。
特筆すべきは、ギャグとバトルのバランス。
作者・赤城大空氏の手腕が冴えわたる。
- スキル名がいちいち面白い
- モンスターもダンジョン構造も、“仕掛けと笑い”の宝庫
- 台詞回しが洒脱で、どのキャラも印象に残る
カリン嬢のキャラクターも、ただのお嬢様ではない。
理知的で、芯が強く、そして心の奥では「誰かと本気で繋がりたい」と願っている。
その彼女が、“切れていない配信”によって偶然自分をさらけ出してしまった結果――皮肉にも、最も“愛される配信者”になっていくという展開。
この物語は、現代の“自己発信”時代を軽やかに風刺しつつ、それでも「誠実さは武器になる」と教えてくれる。
■ 試し読み可能なおすすめサイト:
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カリン嬢の配信は、失敗から始まった。
でも、だからこそリアルだった。
リアルは、人の心を動かす。
今作は、異世界×配信×ギャグ×本気バトルが見事に融合した、まさに“2020年代らしい”痛快エンタメ。
一人の少女が“偶然”から“本物”へと昇華していく、その過程をぜひ目撃してほしい。
配信事故も、武器になる。
それが、真に強い“お嬢様”の生き様だ。